認定ダイバーができること
ダイバーとして正式に認定されるには、以下にあげた知識と能力を備えることが要求されます。
ダイバーの認定とは、ダイビングの講習をおこなったダイブサイト(海、湖、川などダイビングする場所)の特徴に合わせ、その経験範囲で知識と能力を活用してバディ(一緒に潜る相手)と共に安全にダイビングできるようになったことを証明するものです。
ただし同じダイブサイトであっても、天候や水温、透明度などさまざまな外的要因があり毎回同じ環境とは限りません。そのため講習に参加したときと異なる環境においては、さらにその新たな環境にあわせた知識や能力を備えるためのトレーニングを追加で受けて、さらにダイビングの安全性を向上させる必要があります。
ダイビングに必要な知識や能力については下記のリストを参照ください。
ダイビングに必要な器材を扱える
▽ダイビングで安全性と楽しみを得るためには、以下の器材を正しく扱うことが必要です。
- 三点セットといわれるマスク(水中眼鏡)、スノーケル、フィン(足ヒレ)
- レギュレーター(空気源)、予備の空気源
- 残圧計、深度計、時間測定器、水温計
- スクーバタンク
- 浮力調整具(空気の出し入れ可能なベストなど)
- ウエイト(浮力を相殺するもの)
- 保護及び保温スーツ
▽ 使用する器材は、自分の体格や身体のサイズにあったものを使わないと不具合が生じます。例えば、顔の形状に合っていないマスクは浸水の可能性が高くなり、大きすぎるフィンは脚力がついていけずに足がつる、バランスを崩すなど、さまざまな問題を誘発してしまいます。そこで下記のような知識と能力が求められます。
- 自分にあっている器材を選べる
- ダイブサイトへ器材を正しく運搬できる
- ダイビング開始前の器材の調整や動作確認ができる
- 万一その器材に何か不具合が発生した時にも対処できる
- 器材を正しくメンテナンスでき、正しく保管できる
- 呼吸用器材で正しい呼吸ができる
- 水中を楽に上下の移動ができる、またはその場にとどまることができる
- 水中でマスクに水が入っても落ちついて対処できる
- フィンを効率よく使える
バディ・システムを守る
▽ 水中世界で出あう手付かずの自然は、ダイビングの醍醐味です。その楽しみを分かちあう仲間がいればさらに楽しくなります。また、いざという時には、助けあい相談できる仲間が必要です。ダイビングの世界ではバディの存在は絶対なのです。
▽ バディ同士では何をどのように協力しあうのでしょうか
- いつどこにダイビングしにいくか話しあう
- そのダイビングに必要なもの(持っていくもの)が何か話しあう
- 潜水前の計画を話しあう
- 器材の装着と作動確認を互いに行う
- エントリー時の安全を互いに確認する
- 残圧(空気の残り)の確認のし忘れがないように、互いの残圧を確認する
- 予定潜水時間を超えないよう互いに確認する
- 水中での怪我や体調不良時に助けあう
- 万一、残圧が不十分な時や、エアー切れを起こしてしまった時に予備の空気源で助けあう
- 意外な水中生物との遭遇や、水中での予期せぬ幸運を互いに証明しあう
- その時のダイビング経験を証明しあう
ダイビングではバディがいるからこそ安全性が高まり、バディがいるからこそ楽しみが膨らみます。
潜水計画を立てられる
▽ 限りある空気で、道しるべのない水中を安全に楽しむためには、事前のダイビング計画と、それにのっとったダイビングを実行することが鉄則です。また地上と違って水圧の影響を受ける水中では、意識的に自分の行動を調整してコントロールしないと、リスクを背負うことになります。例えば、ダイビングの時間は、潜る深度により制限されます。浮上する時も浮上速度に制限があります。しかしこれらのことについての正しい知識があれば、リスクは間単に回避できます。
▽正しい潜水計画には下記のような条件があります
- 潜水目的を決める
- 目的を達成するために必要な深度を確認する
- 深度にもとづき潜水時間を決める
- 決まった潜水時間にあったタンクの容量を決める。もしも時間にあったタンクが用意できないときは、タンク容量を優先した潜水時間に調整する
- 水温にあった保温スーツを決める
- 保温スーツや他の使用器材にあったウエイトを調整する
- 透明度を確認し、行動プランとコースを決める
- バディと互いの位置関係を決める
- 水中のリスクを探る(危険な生物、潮の流れ、水温・透明度の変動など)
- 緊急時の対策を決める
- エントリー(水に入る方法)、エキジット(水から上がる方法)を決める
- そのほか、地域の特性にあった状況の確認をする
これらをバディと共に実行することで、リスクを事前に回避し、安全性をより高められます。
水面・水中で基本的なナビゲーションができる
▽ コンパスの使い方を含むナビゲーションのテクニックを知っていれば、進む方向も、帰る方向もきちんと確認できます
- コンパスを正しく扱える
- 曲がらずに直線を移動できる
- 帰りの方向確認ができる
- 元の位置に戻れる
ナビゲーションができれば、自分のいる位置を知ることができる。すなわち帰る方向をいつでも意識できるので、安心してダイビングを楽しめます。
自分自身の緊急事態に対応できる
▽ エアーが残り少ない、またはなくなってしまった時
- バディから予備の空気をもらう
- バディが遠くて間にあわないそんな時にも対処できる
▽ バディと完全に逸れてしまった時
- 効果的にバディを探せる
- 水中で見つからなかった場合でもその後確実に合流できる
▽ 水中で自分の身体の背中など見えない場所に何かが絡まっても落ち着いて対処できるために、以下も必要になります
- 器材を脱いで絡まったものを解くまたは切り取れる
- 脱いだ器材を水中で元通り装着できる
バディのトラブルをアシストできる
▽ バディの空気がなくなり助けを求められた時
- 予備の空気源を提供できる
- 予備の空気源を使用したまま浮上できる
▽ バディが怪我をしたり、足がつり自力で泳げなくなってしまった時
- バディのこむら返りを直せる
- 水面でバディを引っ張りながら泳げる
ダイビングの楽しみ方や目的を決められる
▽ 水中の景観を楽しむ、見たい魚を探す、写真を撮るなど、楽しみ方はいろいろです。バディが何を目的にしているかを確かめることで、互いの行動を事前に理解でき、バディシステムを効果的に機能させられます。
- バディと共にダイビングの目的を決められる
ログブックに記録を残せる
▽ ダイビングの経験は全てログブックという記録用紙に残されます。そしてその記録の証明者として、バディのサインを残すことがダイビングの常識となっています。そこで以下が必要となります
- ログブックに必要な情報を正しく記録できる
ここにご紹介した情報は、Cカード協議会加盟の各社が発行しているCカードの意味を裏付けています。各指導機関登録のインストラクターは、ここに記載されたことをコース受講者に完全にマスターしていただいてから、認定することが義務付けられています。
また、これからダイバーになろうと考えている皆様にとっては、これらを完璧にマスターして初めてダイビングを安全に楽しめるということをしっかり心にとどめてください。