レジャーダイビングの課題

業界内では「レジャーダイビング(産業も含む)の課題」について、以前から多くの議論がなされてきました。例えば「多大な潜在人口を抱えながら有効なマーケット開拓ができない阻害要因は何か?」というような話は毎年のように議論されています。

ダイビング振興のためには、現在抱えている課題や問題点を一つずつ解決し、一方で振興策を実施して行く事が必要です。「ダイビング活動や産業の振興」は何か一つの施策を実行する事によって効果が発揮されるという単純なものではありません。基盤整備が必要な事はもちろん、ダイビング業界全体が協力してマーケットを刺激する策も必要でしょう。様々な施策が有機的に絡み合う事によって、徐々にマーケットの拡大がはかられるものと思われます。現状は、こうした「問題や課題」に業界ぐるみで取り組む組織が存在しないという事も問題の一つだと思います。

Cカード協議会が単独で何かを行なったからといって、それだけで課題が解決し、振興がはかられるというものではありません。Cカード協議会としては「レジャーダイビング普及教育機関」としての社会的責任を果たす努力を継続的に行いながら、「ダイビング振興」のための意見や考え方を業界内外に発表し、少しでも賛同者を増やして行きたいと考えています。

ここでは、解決して行くべき課題として以下の2点について触れ、Cカード協議会が対応して行く方向性を述べさせていただきます。

消費者保護

レジャーダイビングという遊びは大変人気のある種目であり、多大な潜在人口を抱える種目です。しかしダイビングを楽しむためには、ある程度の「知識・技術」を修得しなければならず、またダイバーとなった後もハードやソフト面からの何らかのサポートがないと「安全で楽しいダイビング活動」を行うことができません。

このように、ダイバーでない人が「ダイバー」となり、そして継続的にダイビング活動を続けて行くためには様々な面でプロ(業者)によるサポートが必要です。プロ(業者)はユーザーをサポートし、より高度なダイビングの楽しみ方を教えることによってそれに見合う対価を得るわけで、それは当然「明朗で公正」な内容でなければなりません。物や労力(指導・ガイド等)を提供する側は事前にその内容・費用を説明し、特別な条件があるのであればその条件についてもお客様がわかるように説明することが必要です。

ダイビングが次第に盛んになるにつれて「消費者トラブル」が発生し、正確にはわかりませんが増加傾向にあるように感じられます。「消費者トラブル」の中にはまれに「詐欺的商法」のものもあるようですが、多くは「説明不足や誤解」から生じています。どちらにしても結果は同じで、お客様は「騙された」という感覚を持ってしまいます。

お客様や一般社会からの信頼を失ったらビジネスは成り立ちません。お客様はダイビング産業のクライアントであり、自分たちのクライアントは自分たちで守って行くことが必要です。

現在ダイビング業界では、お客様に事前に説明しなければならない項目や内容などについての業界規定がありません。今後消費者トラブルを少なくして行くための一つの手段として、このような業界規定の策定が必要だと思われます。

キャンセル規定

キャンセル規定について、「ダイビング講習契約」サンプルをご用意しました(→サンプルデータ

価格競争と安全性

Cカード協議会では「ダイバー」となるために最低限学び修得しなければならない事項を定めています(ELS基準)。 これは安全にダイビング活動を行うことができるように定められたもので、ダイビングスクールにおいても最低限実施しなければならないものです。

近年、ダイビング事業者の増加とともに価格競争が激しくなり、事業者も必死にコストを削減し激しい競争に勝ち残ろうと日夜努力を続けています。こうした中で時々、指導基準を逸脱し、定められた講習内容の一部を実施せず講習を短縮し、それによってコスト削減をはかろうとする事業者があります。

講習を商品にたとえるならば、同じ商品であれば価格競争があるのは当然といえるでしょうし、同じ商品をより安く提供できるよう努力することは正常な競争でしょう。 しかし前述のような行為は商品内容をごまかし、あたかも同じ内容の商品を企業努力によって安く販売しているように見せかけているもので、事業者間でいえば「不公正競争」となるものです。不公正競争が蔓延すれば、お客様に対して「誠実でまじめに努力する事業者」は価格面での競争力を失い、ダイビングの安全性に多大な影響を与えることになります。

レジャーダイビングの健全な発展のためには、安全性を犠牲にするような不公正競争が行われないように監視して行く必要があると思います。

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